岡崎泰葉を「解説」します
この記事の目的
岡崎泰葉を知りたい人たちのために書きました。
◎この記事には岡崎泰葉の一連のストーリーと解説が書かれています。
この記事は
「セリフを読んでくれと言われても、それだけじゃ分からない事が多いな」
と思う人にオススメです。
どこが一番のポイントなのか、あるいはどういう経緯があって、なぜP達の感情が沸き起こるのか、そういうことを知る助けになれれば嬉しいです。
またこの記事はモバゲー版を軸に解説をしています。
デレステ版と細部で異なる部分があるかもしれませんが、全体を掴むうえでは支障はありませんのでご安心ください。
本記事はゲーム内のセリフを照会せずとも読めるように心がけました。
実際のセリフを読みたい方は、ゲームで見るのは普通に大変なのでググるなりWiki等存分にお使い下さい。
(カードのセリフはモバゲー版用のやつで一番大きいとこにはあります)
また、岡崎泰葉の解釈は当然この限りではありません。
あくまで筆者の解釈です。
さっそく始めていきましょう。
岡崎泰葉は自分を探し始めたアイドルである
岡崎泰葉は、クールアイドル達の中ではよく見られる「自分自身を見つけに行く」タイプのキャラクターと言えます。
彼女は様々な出来事を経験しますが、「昔は自分を見失っていた」ということが展開を楽しむ上で大事になってきますので、これだけでも知っておいて下さい。
岡崎泰葉はかつて子役・モデルとしてとして名の知れた存在でした。
子役とモデル、それらは共に「駒」であることを求められる仕事でもあります。
そして岡崎泰葉は、小学校に入る前からとても優秀な「駒」でした。
大人の望む子どもらしさを演じながらも、同時に大人の世界のルールに従う事のできる才能を持っていたのです。
そうして16歳になりました。巷ではもう「子役上がり」と言われるような年齢です。彼女はそのとき、新しい道を選びました。
いつのときか見た、ステージで輝くアイドル。
アイドルとは、言うなれば「女の子の憧れ」。
本来の「子どもらしさ」を捨ててきた彼女が、16歳になって初めてそんな憧れを目指し始めました。
アイドル岡崎泰葉の始まり
初期の岡崎泰葉は不安定といっていい状態でした。
なぜなら今までの彼女にとって、信じられるものは自身の外部(後述)にあったからです。
それが急に頼りない自分自身を支えに戦わなければならないのですから、不安で仕方ない。
どうしても、今まで信じられていたものにすがってしまう傾向にあります。
例えば、勝敗という結果や業界のルール、あるいは自分より年上のプロデューサー。
そういったものにこだわる姿勢がミス・プロ意識と評されるようなキャラでもありましたが、一方で冷たく暗い印象も持ち合わせていました。
そして彼女自身、そんな自分から必死に抜け出そうとしていました。
時にそれが強い言葉で現れてしまうこともあり、むしろいっそう不安定な印象は強まっていくのでした。
実際に当時の彼女のカードを見ると、「表情が無い」という印象を受けます。
それなのに台詞が必死なものだから、まるで冷たいナイフのように感じる人もいたようです。
岡崎泰葉・第一の転機
そんな彼女が転機を迎えるカードがありました。それが【小さな一歩】というカードです。
特訓前の姿は日常の制服姿、特訓後は今までと違いポップでかわいいアイドルらしい衣装でした。
この頃から、彼女は「楽しむこと」を口にするようになります。
正確に言うともっと前からちょくちょくそれに気づき始めるセリフはあるのですが、「楽しむこと」がメインに置かれたカードはこれが初めてでした。
「楽しいと思うことをやる」というのは、まさしく「自分自身」を見つけ出す行動です。
ある意味、人間として自然で当たり前のこと。楽しいと思うことが趣味になり、時には仕事になることもあります。
先述した通り、彼女にそういった当たり前は存在していませんでした。
大事なことは、自分が楽しむような身勝手さではなく、従順な「子どもらしさ」だったから。
普通の女の子が持っている「小さなもの」、それがこの時岡崎泰葉が見つけたものでした。
楽しむことを始める泰葉
【小さな一歩】を経て、岡崎泰葉はあらゆる「楽しいこと」を経験します。
スペースアイドルに、チョコのお渡し会、かくし芸チャレンジなど…。バラバラですが、実にアイドルらしく色々な事を経験します。
【小さな一歩】を迎える前の彼女ならば、求められるものが次々と変わる事態に混乱していたかもしれません。
「楽しむこと」を知ることで、彼女は未知に挑戦し、得られた経験を自分のものに出来た。
これらのイベントと同時に、プロデューサーに対する見方も「ただの同僚の大人」から「信頼しあうパートナー」へと変化していきます。
誰かの駒じゃなく、一人の人間として歌って踊って楽しめるようになれたこと。
少しずつ、相手の要求に応えるだけじゃなくなった。
プロデューサーに心を許せるようになったのは、そんな理由かもしれません。
岡崎泰葉・第一章の完結
そしてある日、岡崎泰葉は見逃せない一瞬を迎えます。それが【ワンモアステップ】です。
特訓後の姿、彼女は黄昏の舞台で歌います。
そこにあるのは、やわらかな笑顔と、差し伸べるその手。
アイドルとしてはかなり真っ当な姿です。
筆者は、ここに岡崎泰葉の一つのアイドル像を見ています。
誰が見ても特別な、眩い光のようなアイドルではなく。
誰かに笑顔を向けられて、手をとれる女の子。
特別な始まりから普通を迎えに行く泰葉だからこその、【ワンモアステップ】の姿。
そして岡崎泰葉の夢はここで一つのエンディングを迎えます。次にまた夜が明けるとき、彼女の新しい物語が始まります。
岡崎泰葉の第二章
【ワンモアステップ】を終え、岡崎泰葉は次なるテーマに入ります。
それは「過去を受け入れて未来へ進むこと」です。
普通の人間と比べて特殊なスタートをした岡崎泰葉。
彼女にとって「過去」というものはどう見えていたのでしょうか。
「駒」を求められ、本来の「子どもらしさ」を失った薄暗い悲劇…
彼女をよく知らないPさん方から、そう思われることがままあります。
実のところ、彼女にそういった悲観的な気配は全くありませんでした。
なぜなら彼女にとって過去の状況は普通のことで、ただの現実だったからです。
ただ、「過去は関係ない」という姿はよく見られました。
過去は否定しないけど、見てほしいのは今なんだ、という姿勢。
つまるところ、「過去」を認めきれない葛藤を抱えたままだったわけです。
これからの岡崎泰葉がアイドルとして先へ、未来へ行くためには、どうしてもこの葛藤をクリアする必要があったのです。
そして、その機会はそう時を待つことなく訪れました。
【T.B.チアーズ】というカードが登場しました。
このカードの特訓前では、ファンからもらった花束と手紙を抱いていました。
そしてそのファンというのが、なんと子役時代からのファン。
葛藤の中にあった「過去」から、ずっと「今」に至るまで応援してくれていた存在。
泰葉はそれを初めて受け止めたのです。
彼女は手紙の内容も教えてくれませんが、端々のセリフと表情から伝わるものは多すぎるほどです。
気になる方はぜひ調べてみていただきたい。
(こればかりは自らで発見した方がより良い体験になると思います。)
結論として、彼女はこのとき「過去を受け入れられた」。
こうして岡崎泰葉は「未来」へ向かえるようになりました。
未来で見つけた出会い
芸能界を生き抜いてきた泰葉が唯一気にし続けていたことがありました。
それは「お友だち」です。
彼女は基本的に後悔しない、したくないと口にするのですが、友人ができなかったことだけは悩んでいたのです。
彼女がなかなか友だちを作れなかった理由は、忙しかったこともあるでしょう。
しかし、根本的に「素の自分」を見せないことが得意だったからとも考えられます。
上辺の付き合いが得意だったばっかりに、お友だちが作りにくい。
(身に覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか…)
そんな泰葉でしたが、アイドルを続けるうちに少しずつ「自分」を出せるようになりました。
ただ今までそういうことをしてこなかっただけに、周りと比較すると(フランクな面で)拙いコミュニケーションになりがちです。
どうやってお友だちを作るのか?
そしてそれを解決する方法がありました。
言い方はひどいですが、同じように拙い子と仲良くなればよい。
シンデレラガールズのユニットの中に、「GIRLS BE」というものがありました。
メンバーは関裕美、白菊ほたる、松尾千鶴。
3人が3人とも似たような性格で、どれもこれも自信がないメンバー。
ただ彼女たちは自信がない一方で、それでも前に進める強さ(頑固さ)を持っていました。
それが一部のPの心を引きつけ、根強い支持者もいました。
経緯は不明ですが、そのGIRLS BEと泰葉がお出かけする事になりました。
詳細はモバマス劇場772話にありますが、非常にぎこちない。
ぎこちないですが、なぜ一緒になった?というよりは、なるほど泰葉には合っているなと思えました。
お出かけの劇場のきっかけになったのが【ガーリーポッシブ】というカードでした。
特訓前はお出かけ用の私服。そして特訓後が泰葉にしてはかなり珍しいアクティブな衣装。
実装当時は多少違和感があるだけのカードでしたが、これがとんでもなく大きな起点になりました。
実はこの衣装が新ユニット「GIRLS BE NEXT STEP」の共通衣装だったのです。
名前の通り「GIRLS BE」を踏襲するユニットで、GIRLS BEの三人に泰葉を加えたメンバーになっています。
セリフ等の詳細はwikiにお任せするとして、内容は概ね少しずつ未来へ成長していける!という内容です。
年下の三人からの呼び方も(登場を重ねる必要はあるものの)「泰葉ちゃん」となっており、泰葉にとって今までにない親密なユニットが誕生しました。
そしてこのユニットが誕生した事により、泰葉の活躍の場はあらゆる場所に広がっていきました。
(多すぎて紹介しきれないので、劇場やリフレッシュルームやデレぽや営業コミュ、その他諸々をぜひご覧下さい)
岡崎泰葉は新しい未来を手に入れました。
泰葉に限らず、GIRLS BE NEXT STEPのメンバーはいずれも一筋縄ではいかない経緯があり、それらを経てこのユニットに辿りつきました。
きっとこれからも未知の世界が彼女達を待っています。期待しましょう。
第二章の完結と新たな扉へ
お友達ができ、未来を迎えようとする泰葉が次の扉を開ける直前…その瞬間を切り取ったカードが登場しました。
それが【芽生えし光】です
このカードはそれ自体泰葉にとっての集大成でもあるのですが、一番の衝撃はそのカードが登場するイベントそのものでした。
その名も、「蒸機公演クロックワークメモリー」。
どれぐらいの衝撃だったかと言うと、1万件越えでTwitterのトレンドに名前が載るほどでした。
すっかりアクティブの少なくなったモバゲー版シンデレラガールズの、特別でもなんでもないイベントにとっては異常事態です。
そして、そのイレギュラーを引き起こしたイベントの中心に岡崎泰葉がいました。
イベントの内容は残念ながらここではお伝えし切れませんが、実に趣向の凝った、それでありながら王道も外さない質の高い作品でした。
(今からでもモバゲーで見ることが出来ます。方法は「蒸機公演クロックワークメモリーを見る」とかで検索するとなんかしら方法が見つかると思います)
そんな衝撃的なイベントでしたが、このイベントのストーリーは担当Pが見れば唸るほどに泰葉のこれまでをなぞっていました。
今回のような公演イベントは、これまでもそのアイドルのキャラクターをなぞった役どころが主でした。
しかし、蒸機公演の岡崎泰葉は特にその傾向が強かったと感じます。
もはやストーリーそのものの「柱」に「岡崎泰葉」が間違いなく存在していました。
ここまで読んで下さった方なら、見たときにそれを理解していただけるはずです。
公演の内容もまた解釈に満ちているのですが、ある意味独立したストーリーですので、考察は割愛します。
ここでは改めて【芽生えし光】のカードの話をします。
元役者として、今まで以上に今回の仕事に入れ込む姿が見られます。
そしてこのカードの一番のポイントは、「扉を開けること」。
特技名も「旅立ちの予感」ですので、明らかに新しい何かを示唆していると考えられます。
メタな視点で考えれば、新しい何か、すなわち新しいカードが登場することはさして珍しいことではありません。
なぜわざわざ「扉を開けること」を強調するのか?
その意味は次の登場機会で明らかになりました。
岡崎泰葉はここでまた、次の新しい章に入ることになります。
第三章・確信のステージ
扉を開けた先の岡崎泰葉は、端的に言って「確信」に満ちていました。
それが【キラメキタイム】です。
これらのカードは絵柄、セリフ共にハイクオリティに仕上がっています。
そしてそのセリフの各所には、自信と落ち着き、視野の広さが見受けられました。
第一章の節目である【ワンモアステップ】と今を比較すると、その違いが分かりやすいと思われます。
【ワンモアステップ】の泰葉は一つの集大成である一方、アイドルってすごい!夢ってすごい!
そういった「興奮」の中にありました。
しかし今回の泰葉は非常に落ち着き、特訓後のステージでは普段とは違う隙のない表情を作る余裕をも感じさせています。
特訓前の姿にしても、「年頃の女の子らしさ」と「プロのアイドルのオフ」を絶妙に融合させた姿であると言えます。
扉の先の泰葉が「確信」に満ちている、というのはこういった意味です。
勢いばかりでもなく、葛藤を乗り越えて感慨深いわけでもなく、それまでの全てをもって勝負してくる姿がそこにありました。
そしてこの記事にとっては余談となりますが、このカードが出たのちに、シンデレラガールズスターライトステージにてSSR【あの日の私を受け止めて】が登場しました。
モバゲー版と直接の繋がりはないとはいえ、【キラメキタイム】のすぐ後に出してきたのは何かしらの関連を感じずにはいられません。
今後の岡崎泰葉の展開がどのように紡がれるのかはまだ分かりません。
モバゲー版なのか、あるいはまた別の何かなのか。
しかし扉の先の岡崎泰葉は、もうどこへでも行ける準備ができています。
「確信」を得て新たなステージで輝く彼女に、大いに期待しましょう。
おわりに
なかなかに長くなってしまいました。こればっかりは申し訳ないと言う他ないです。
最後まで読んでくれる方がいるのなら本当にありがたい。
あなたも既にこちら側の人間です。
岡崎泰葉とアイドルマスターシンデレラガールズの沼へ、共に参りましょう。